君といつまでも

〜第5章〜 安らぎ (視点)





「じゃ。俺帰るわ。」

「うん。」


翔がドアノブに手をかける。


急に寂しさが私を襲う。





「じゃあね。」



その一言でますます孤独感が大きくなる。






私は翔を追いかけようとした。


しかし――




「あ、そうそう……これ。」

「…何?これ。」

「俺のケー番とメルアド。なんかあったら連絡して。」


じゃ、と言うと翔は急ぎ足で私のマンションを後にした。




私は無意識のうちにその場に座り込んでしまった。
そして、翔が渡した紙切れを見つめる。



”あの悪夢”以来初めて、”安心”したような気がした。





























早速、夜になると翔に電話してみた。
翔はすぐに電話に出てくれた。


「もしもし。だけど…。」

『お。早速かけてくれたんだ。』

「うん。やっぱ昨日あのこと思い出しちゃったからまだ…ね。」

『そっ……か。つーかゴメン。なんか、俺のせいであんなこと思い出させちゃってさ。』

「気にしないで。今ではまだマシになってるから。」





それから私たちは1時間近く話し続けた。
久しぶりに翔とはこんなに話したが、やっぱり翔は中学以来変わっていない。







だからよけい愛しさが込み上げてきて――










『じゃ。そろそろ…。』

「あっ、待って!」

『……?』








「また明日もかけていいかなっ?!」









ちょっとワガママすぎかなと思ったけど、翔は優しく答えた。



『――いいよ。』



そう返事した声があまりにも優しすぎたのか、私は目から涙がこぼれるのを感じた。
その涙は止まることなく、どんどん増すばかり――。



しまいには、声を出して泣き出してしまった。



『――おいっ!大丈夫か?』

「……う…ん、平気。…じゃぁ、また明日ね。」



電話を切ると、とうとう声を出して泣き出してしまった。





――でもこの涙はあの時の涙とは違う。



この涙は翔が確実に私に”安らぎ”を与えてくれている証拠だ。






私は夜が更けていく中、電話を握り締めたまま涙を流し続けた――































「目痛〜い…。(涙)」

「ったりめーだろ。心配になったから来てみたら――案の定大泣きしやがって…。」


あの後、翔は私のことが心配になったらしく、私の家に押しかけて(?!)きた。
泣きすぎた私の目は腫れに腫れて、涙は枯れきっていた。


「ホラ。これさしといたら少しはマシになるよ。」


翔は私に目薬を渡してくる。
私はありがたくそれを受け取ると、目にさした。


「ちょっとはマシになったか?」

「…うん。」

「そうか。――ったく…。涙もろいの、中学の時と全然変わってねぇじゃん。」


そう言いながら翔は、私に向かって優しく微笑んだ。




その笑顔があの頃と変わっていなくて――





すごく心地いい。



と言うよりも、なんだか不思議な感じ――












気がつくと、私は翔の腕の中にいた。




「しょ…ぉ?」

「俺がいるから。」

「え?」








「俺がずっと側にいるから……………………もう涙なんか見せるな。」








言い方はぶっきらぼうだが、翔なりの優しさがじわじわと伝わってくる。






私は小さな声で頷くと、そのまま翔の腕の中に顔をうずめた。












 ――やっと安らぎの場所を見つけた――






☆あとがき☆
最後のは、ヒロインの心の声です(爆)
いや〜、まだまだ文才なくてすみません(><)
なんかだんだん平和になってきましたよ。
でも、平和はそう長続きしないもんなんだよねぇ…。










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